幽灵公主日文版剧本.docx
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幽灵公主日文版剧本
もののけ姫
原作脚本監督宮崎駿
登場人物紹介
サン人に捨てられ、山犬にそだてられた少女。
森をおびやかす人間を憎(にく)み、タタラ場やエボシたちに攻撃をしかれる。
アシタカ北の地の果てにひっそりとすむ、エミシ一族王家の血筋をひく若者。
突然村をおそってきたタタリ神をたおしたとき、死の呪いをうけ旅にでる。
ヒイさまエミシの里にすむ老巫女。
呪いをうけたアシタカに、西へと旅立つよう告げた。
ジコ坊師匠連という謎の組織の命により、神の首をねらっている。
エボシやアシタカまでも利用し、目的達成のためには手段を選ばない。
コダマ豊かな森にすむ精霊たちで、淡い緑色をした半透明の体をもつ。
森に迷った人を助けることもあるようだ。
モロの君森にすむ犬神で、サンをそだてた。
人間を嫌い、つねにエボシを殺す機会をね
らっている。
エボシ御前ケモノたちを追い、つくりあげたタタラ場をまとめる冷静沈着な女性。
さまざまな境遇のひとびとをうけい入れる人徳をもち、慕われている。
トキ甲六の妻で、タタラ場ではたらく女たちのリ-ダ-的存在。
勝ち気な性格で、ゴンザを言い負かすほど
ゴンザエボシの部下で、牛飼い、ワラットたちをひきいる。
まじめな性格だが、アシタカやサンにはふりまわされ、悩まされる。
甲六タタラ場ではたらく牛飼いのひとり米の運搬中、犬神におそわれるがアシタカに命を救われる。
乙事主鎮西(九州)にすむイノシシ神で、人間の数数の行いに怒り、ほかのイノシシ神とともに総攻撃へと動きだす。
ディダラボッチシシ神の夜の姿で、十数(じゅうすう)メートルはあろうかという巨人。
その姿を見た人間は命をうばわれるとも言われる。
むかしこの国は深い森におおわれそこには太古からのかみがみがすんでいた
アシタカ:
ヤックル。
アシタカ:
ちょうど良かった。
ヒイさまがみな村へもどれと。
じいじもそう言うの。
女の子たち:
山がおかしいって。
鳥たちがいないの。
ケモノたちも。
アシタカ:
そうかじいじの所へ行ってみよう。
みんなは早くもどりなさい。
女の子たち:
ハイッ。
アシタカ:
(!
)なにか来る。
じいじなんだろう。
じいじ:
わからぬ。
人ではない。
アシタカ:
みなを呼びもどしている。
村のほうはヒイさまが。
じいじ:
来おった。
(……)タタリ神だ!
アシタカ:
タタリ神?
!
タタリ神:
グェエエエエ!
アシタカ:
ヤックル!
逃げろ!
じいじ:
うわっ!
アシタカ:
クッ。
アシタカ:
おそう気だ!
じいじ:
アシタカ!
タタリ神に手をだずな!
呪いをもらうぞ!
アシタカ:
しずまりたまえ!
タタリ神さぞかし名のある山の主と見うけたがなぜ。
そのようにあらぶるのか?
女の子たち:
おばけ。
村へ!
タタリ神:
止まれェ!
なぜわが村をおそう。
アシタカ:
やめろ!
しずまれ。
女の子I:
アッ!
女の子II:
しっかり!
アシタカ:
(!
)早く!
タタリ神:
ギェエエエ!
アシタカ:
くっ!
町の人たち:
たおした!
火をたやすな。
ヒイさまを早く。
アシタカ:
くっ!
女の子:
兄さま!
兄さま。
アシタカ:
カヤふれるな。
ただ傷のではない。
町の人I:
アシタカが手傷をおった!
町の人II:
ヒイさまは?
ヒイさま:
みな!
それ以上近づいてはならめぞ!
!
町の人III:
ヒイさま!
!
ヒイさま:
この水をゆっくりかけでおやり。
ヒイさま:
いずこよりいましあらぶる神とは存ぜぬもかしこみかしこみ申す
この地に塚を築きあなたのみたまをお祭りします。
うらみを忘れしずまりたまえ。
タタリ神:
けがらわしい人間どもよ。
わが苦しみと憎(にく)しみをるがいい……
ヒイさま:
さて困ったことになった。
かのシシははるか西の土地からやって来た。
深傷の毒に気ふ
れ身体はくさり走り来る内に呪いを集めタタリ神になってしまったのだ。
アシタカヒコやみなに右
腕を見せなさい。
アシタカ:
はい。
町の人たち:
おお-
ヒイさま:
アシタカヒコやそなたには自分の運命を見すえる覚悟(かくこ)があるかい。
アシタカ:
タタリ神に矢を射るとき心を決めました。
ヒイさま:
そのアザはやがて骨までとどいてそなたを殺すだろう。
町の人1:
なんとかなりませぬかヒイさま。
町の人2:
アシタカは村を守り!
ほかの町の人:
乙女らを守ったのですぞ。
ただ死を待つしかないというのは……
ヒイさま:
誰にも運命はかえられないだが、ただ待つかみずからおもむくかは決められる。
見なさ
い。
あのシシの身体にくいこんでいたものだよ。
骨をくだきはらわたをひきさきむごい苦しみをあ
たえたのだ。
さもなくばシシがタタリ神どになろうか……西の土地でなにか不吉なことがおこって
いるのだよ。
その地におもむきくもりない眼で物事を見定めるならあるいはその呪いを断(た)つ道
が見つかるかもしれぬ。
大和との戦(いく)さにやぶれこの地にひそんでから五百ゆう余年いまや大
和の王の力はなえ将軍(しょうぐん)どもの牙も折れたときくだが我が一族の血もまたおとろえたこの
ときに一族の長となるべき若者が西へ旅立つのは定めかもしれぬ。
アシタカ:
(……)
ヒイさま:
掟に従(したが)い見送(みおく)らぬ健やかにあれ。
女の子:
兄さま!
アシタカ:
カヤ!
アシタカ:
見送(みおく)りはじられているのに。
女の子:
おしおきはうけます。
どうかこれを。
私のかわりにお伴させてください。
アシタカ:
これは?
大切な玉の小刀じゃないか。
女の子:
お守りするよう息を吹きこめました。
いつもいつもカヤは兄さまを思っています。
アシタカ:
わたしもだ。
いつもカヤを思おう。
(……)
アシタカ:
戦(いく)さ?
!
サムライ1:
まわりこめ!
アシタカ:
カブトクビだ!
!
アシタカ:
ハッ!
もどれ-っしょうぶしょうぶ!
アシタカ:
やめろ-っ!
(!
)なにっ?
!
サムライ2:
うわっ!
アシタカ:
なんだこの腕は?
!
サムライたち:
逃がさぬぞ!
見参(けんざん)!
!
アシタカ:
押しとおる!
邪魔するな!
サムライ3:
鬼だ…
(……)
アシタカ:
アザが濃くなっている……
ジコ坊の友人:
なんとも白湯みたいなめしだな。
ジコ坊:
おっ!
ある町の人:
いた!
いた!
ジコ坊の友人:
へへっ。
エボシ:
なんだいこりゃ?
おアシじゃないじゃないか。
ジコ坊:
まてまて拙僧(せっそう)がみてやろう。
これは砂金の大粒だぞ!
エボシ:
ゼニがいいなら代金はワシが払(はら)おう。
そのかわりこれをゆずってくれ!
ジコ坊:
みなの衆!
この近くに両替屋はおらんかの?
(……)
ジコ坊:
お~い!
そういそがれるな。
いや礼(れい)などと申す気はない。
礼(れい)を言いたいのは拙
僧のほうでな。
田舎侍(いなかざむらい)の小ぜりあいにまきこまれた折をそなたのおかげで助かっ
たのだ。
鬼神のごときとは正にあれだな。
ある町の人たち:
ホッホッ。
気づいたか人前で砂金など見せるとなァ。
まことに人の心のすさむこ
と麻(あさ)のごとしだ。
ジコ坊:
寝(ね)こみをおそわれてもつまらぬ。
走るか!
?
ある町の人たち:
チッ!
くそっ。
(……)
ジコ坊:
イノシシがタタリ神になったか……
アシタカ:
足跡をたどって来たのですが里におりたとたんわからなくなりました。
ジコ坊:
そりゃそうだろう。
そこらを見なさい。
この前来たときはここにもそれなりの村があった
のだが洪水か地すべりか…さぞたくさん死んだろうに戦さ、行きだおれ病に、飢え。
人界はうらみ
をのんで死んだ亡者でひしめいとる。
タタリというならこの世はタタリそのもの。
アシタカ:
里へおりたのはまちがいでした人をふたりもあやめてしまった。
ジコ坊:
人はいずれ死ぬ。
おそいか早いかだけだ。
おかげで拙僧は助かった。
椀をだしなさい。
ホウ、みやびな椀だな。
そなたを見ていると古い書に■わるいにしえの民を思いだす。
東の果てに
アカシシにまたがり石のヤジリを使う勇壮(ゆうそう)なるエミシの一族なりとな…
かんじんなこと
は死にくわれぬことだ!
アシタカ:
このようなものを見たことはありませんか。
ジコ坊:
これは?
アシタカ:
イノシシの身体からでてきました。
巨大なイノシシにひん死の傷をあたえたものです。
ジコ坊:
これよりさらに西へ西へと進むと山の奥(おく)のまた山奥(やまおく)に人をよせつけぬ深い森
がある。
シシ神の森だ。
そこではケモノはみな大きく太古のままに生きているときいた。
アシタカ:
(……)
(朝)
ジコ坊:
やはり行くか……
(雨降り、町の人たちが米を運搬してる。
)
エボシ:
みなあとわずかだ。
油断(ゆだん)す。
ましぞ!
町の人1:
でたぞ!
犬神だ!
町の人2:
あせらずに陳をくめ!
町の人3:
せいて火薬(かやく)をめらすな!
町の人2:
モロ!
来い!
モロ:
ググッ。
。
(エボシがモロを攻撃する。
)
町の人3:
やりました!
エボシ:
きやつは不死身だ。
このくらいでは死なん!
町の人3:
すぐ出発しよう。
隊列をくみなおせ。
(……)
(甲六が川に落ちてた)
甲六:
ううっ……
アシタカ:
(!
)
アシタカ:
しっかりしろ!
!
(…………)
アシタカ:
(!
)
(川の向こうにさんと犬神があらわれる)
アシタカ:
わが名はアシタカ。
東の果てよりこの地へ来た。
そなたたちはシシ神の森にすむときく
古い神か?
!
(アシタカとサンが見合う)
サン:
去れ!
アシタカ:
(!
)
甲六:
あわわわわ……
アシタカ:
(!
)コダマ?
!
ここにもコダマがいるのか。
アシタカ:
しずかに!
動くと傷にさわるぞ。
すきにさせておけば悪さはしない。
森が豊かなしるし
だ!
アシタカ:
こいつらはシシ神を呼ぶんだ。
大きな山犬か?
甲六:
ちがう!
もっとおっかねぇ化物の親玉だ。
危険なものは近くにいない。
アシタカ:
すまぬがそなたたちの森をとおらせてもらうぞ。
(……)
甲六:
おねげぇです。
もどりましょうよ。
むこう岸なら道がありやす。
アシタカ:
この森をぬけるなんてムチャだ。
流れが強すぎて渡れない。
それにこのケガ人は早くし
ないと手おくれになるぞ。
道案内をしてくれてるのか。
迷いこませる気なのか。
甲六:
ダンナ~こいつらワシらを帰(かえ)さねぇ気なんですよ。
アシタカ:
どんどんふえてやすぜ。
これがおまえたちの母親か。
リッパな樹だ。
病者:
ふふっ。
アシタカ:
(!
?
)あの少女と山犬の足跡だ!
ここは彼らのナウバリか……
甲六:
ダンナ…こんどこそヤバイですよ。
ここはあの世の入り口だ!
アシタカ:
そうだな。
ちょっと休もう。
アシタカ:
足跡………?
!
ひずめが三つ……まだ新しい。
アシタカ:
(!
)うっ!
甲六:
だ、ダンナ!
どうしたんで。
アシタカ:
くっ!
ハァハァ。
甲六:
ダンナ、すげえタタラについた!
まるで城だな。
エボシさまの大タタラでさ。
砂鉄(てつ)を
わかして鉄をつくってるんです。
ある町の人:
森から人が来る。
ある町の人:
もののけか?
甲六:
おれだ~牛飼(うしか)いの甲六だ~
ある町の人:
なにィ甲六ガ……
ある町の人:
カカァにしらせろ。
ある町の人:
うそじゃねぇ!
いま舟でこっちに来る。
ゴンザ:
何事か!
?
おれが字を書いてるときはしずかにしろ!
ある町の人:
死んだはずの甲六がむこう岸にでたんでさぁ。
ある町の人:
幽霊じゃねぇな。
ある町の人:
他のヤツはどうした。
ある町の人:
おいっ。
ある町の人:
助けられたのはおれたちだけだ。
甲六:
石火矢の衆よ。
このダンナがずっとおぶってくださったんだ。
礼(れい)を言っとけ。
ある町の人:
さま、あの頭巾の者は何者でしょう?
見なれぬ姿だな。
ゴンザ:
そこの者、まて!
ケガ人をとどけてくれたことまず礼を言う。
だが得心がいかぬ。
われらが
ここへついて半刻もせぬうちにおまえは来た。
しかも谷底から大の大人をかつぎシシ神の森をぬけ
てだと…
トキ:
甲六~生きとったんか~
トキ:
牛飼いが足をくじいてどうやっておマンマくってくんだよ。
甲六:
んなこと言ったってよ。
ゴンザ:
心配ばかりかけやがって。
トキ:
いっそ山犬にくわれちまえばよかったんだ。
そうすりゃあたしはもっといい男を見つけてや
る。
甲六:
おトキ~カソニソしてくれよ~
ゴンザ:
トキ~夫婦ゲンカはよそでやらんかい。
トキ:
なにさ。
えらそうに。
なんのための護衛なのさ。
ふだんタタラのひとつもふまないんだ。
ゴンザ:
いざというときは生命をはりやがれ。
トキ:
しかたがなかろう……
トキ:
ありがとあんな亭主でも助けてくれてうれしいよ。
アシタカ:
よかった。
つれて来てはいけなかったのかと心配してしまった。
エボシ:
ゴンザッ!
あとで礼を言いたい。
客人を案内しなさい。
町の人たち:
エボシさま
エボシ:
甲六、よく帰って来てくれた。
すまなかったな。
トキも堪忍(かんにん)しておくれ。
わた
しがついていたのにザマァなかった。
トキ:
いいえ。
男たちだけだったら今頃みんな仲良く山犬の腹の中ですよ。
エボシ:
旅のおかたゆるりと休まれよ。
アシタカ:
(す‥)
トキ:
あらっ、いい男じゃない!
(……)
町の人たち:
そ-れ(はたらいている)
ある町の人:
モロをやっつけて運んだ米だ!
ありがたくうえよ!
ある町の女:
どこどこ?
ある町の女:
え?
あの人?
ある町の女:
ほんとトキの言ったとおりじゃん。
ある町の女:
いい男ね~
ある町の女:
ちょっと若すぎない?
ある町の人:
しずかにしねぇか。
通夜をやってるんだぞ。
ある町の女:
ネィ、旅のおかたあたいたちの所へきな。
ある町の女:
こんなクサイ小屋はやめてさ。
ある町の人:
てやんでェ。
おれたちが生命がけで運んだをくらってよ。
ある町の女:
その米を買う鉄(てつ)はだれがつくってるのさ。
あたいたちは夜っぴいてタタラをふん
でるんだ。
アシタカ:
よかったらあなたたちのはたらく所を見せてください。
ある町の女:
おしろいぬってタタラを。
ある町の女:
紅(べに)もさす?
ある町の女:
きっとだよ-
ある町の女:
まってるからね~
甲六:
ダンナ気をわるくしねぇでください。
ある町の人:
エボシさまが甘やかしすぎるんで。
アシタカ:
いい村は女が元気だと聞いています。
ある町の人:
でもなぁタタラ場に女がいるなんてなぁ。
ふつうは鉄を汚すってそりゃ~~いやがるも
んだ。
甲六:
おっ!
はじめやがった。
エボシさまときたら売(う)られた娘を見るとみんなひきとっちまうん
だ。
そのくせ掟もタタリもヘッチャラなコワイ人だよ。
ある町の人:
そうそう。
ナゴの守(かみ)をやったときなんか見せたかったぜ。
アシタカ:
ナゴの守?
!
ある町の人:
すげえでかいイノシシでよ。
このあたりのヌシだったのよ。
でよ、だれも山に近よれ
ねぇ。
お宝の山を見ながら人間様(さま)はをくわえてたのよ。
町の人たち:
ハハハ!
ある町の人:
この下じゃ砂鉄(さてつ)をとりつくしちまったからな。
アシタカ:
(……)
。
。
。
。
。
。
何人ものタタラ師がここをねらってよ。
みんなやられちまったんだ。
おれたちの稼業
は山をけずるし木を切るからな。
山の主が怒ったてな。
そこへエボシさまが石火矢衆(いしびや
しゅう)をつれてあらわれたってわけだ。
。
。
。
。
。
。
ある町の人:
ダンナ、どうしたんで?
アシタカ:
そのイノシシのことを考えていた。
いずくで果てたかさぞ。
うらみは深かろう。
(ある町の人たちがはたらいている)
エボシ:
アシタカとやらまたしてすまぬな。
あすのおくりのしたくに手間どってね。
いい鋼(はがね)
だ。
エボシ:
ちょっと休もう。
そなたを侍どもか、もののけの手先とうたがう者(もの)がいるのだ。
この
タタラ場を狙う者がたくさんいてね。
旅のわけを聞かせてけれぬか。
(アシタカが腕を見せる)
アシタカ:
このつぶてにおぼえがあるはず。
巨大なイノシシ神の骨をくだき肉を腐らせタタリ神にし
たつぶてです。
このアザはそのイノシシにとどめをさしたときにうけたもの死にいたる呪いです。
エボシ:
そなたの国は?
見なれぬシシに乗(の)っていたな。
アシタカ:
東と北のあいだより…それ以上は言えない。
ゴンザ:
正直にこたえぬとたたっきるぞ!
エボシ:
そのつぶての秘密を調べてなんとする。
アシタカ:
くもりなきまなこでものごとを見定(みさだ)め。
エボシ:
決める!
フフア-ッハハハハハハハわかった。
わたしの秘密を見せよう。
来なさい。
ゴ
ンザ!
あとをたのむよ。
(……)
エボシ:
ここはみなおそれて近よらぬ。
わたしの庭だ。
秘密をしりたければ来なさい。
エボシ:
ちょうどくみあがったところですよ。
エボシ:
まだちょっとおもいな。
あるはたらく人:
あまりけずると銅金がはじけます。
エボシ:
わたしだけが使うのではない。
ここの女たちにもたせるのだ。
ホホホさぞ見ものでしょう
ね。
この者たちが考案した新しい石火矢(いしびや)だ。
明国(みんこく)のものはおもくて使いにく
い。
この石火矢なら化物(ばけもの)も侍(さむらい)のヨロイもうちくだけよう。
はたらく人たち:
コワヤコワヤエボシさまは国くずしをなさる気だ。
エボシ:
いそがせてすまぬな。
あとで酒などとどけよう。
アシタカ:
あなたは山の犬の森をうばいタタリ神にしてもあきたらずその石火矢でさらに新(あら)たな
うらみと呪いを生みだそうというのか?
!
エボシ:
そなたには気の毒だった。
あのつぶて、たしかにわたしのはなったものおろかなイノシシ
め。
呪うならわたしを呪えばいいものを。
アシタカ:
(!
)(腕になんだか化がある)
(アシタカが刀を抜く)
エボシ:
その右腕はわたしを殺そうとしているのか。
アシタカ:
呪いが消えるものならわたしもそうしよう。
だがこの右腕はそれだけではとまらぬ。
こ
この者すべてを殺すまでしずまらぬか
あるはたらく人:
エボシさまその若者の力あなどってはなりません。
あるはたらく人:
長(おさ)!
お若いかた、わたしも呪われた身ゆえ。
あなたの怒りや悲しみはよくわ
かる。
わかるが、どうかその人を殺さないでおくれ。
その人はわしらを人としてあつかってくだ
さったたったひとりの人だ。
わしらの病(やまい)をおそれずわしのくさった肉を洗い布(ぬの)をまいてくれた。
生きることはまことに苦しくつらい……世(よ)を呪い人を呪いそれでも生きたい……
どうかおろかなわしにめんじて……
(エボシが石火矢を使って見る)
エボシ:
また来ていたか。
エボシ:
夜になるとああしてもどってくるのだ。
山を取り戻そうと木を植(う)えにくる。
アシタカ、ここにとどまり力をつくさぬか。
アシタカ:
あなたはシシ神の森までうばうつもりか?
!
エボシ:
森に光が入り山犬どもがしずまればここは豊かな国になる。
古い神がいなくなればもののけ
たちもただのケモノになろう。
さすればもののけ姫も人間にもどろう。
アシタカ:
もののけ姫……
エボシ:
山犬に心をうばわれたあわれな娘だ。
わたしを殺そうとねらいつづけている。
シシ神の血
はあらゆる病をいやすと聞く。
そなたのアザを消す力もあるかもしれぬぞ!
はたらく人たち:
エボシさま、首尾(しょび)はいかがでしょうや?
エボシ:
上出来(じょうでき)だ。
正(まさ)に国くずしにふさわしいが…やはりちょっとおもいな。
(まちの女たちがはたらいている)
ある町の女:
あらっ?
!
あんた。
アシタカ:
おトキさん、わたしもふませてくれ。
(…)かわってくれないか。
せっかくだからかわっ
てもらいな。
町の女たち:
すごい力!
トキ:
ねっイイ男だろう。
そんなにリキむとつづかないよ。
旅人(たびびと)さん。
アシタカ:
きびしい仕事だな。
ある町の女:
そりゃそうさ。
トキ:
四日五晩(よっかいつばん)踏みめくんだ。
アシタカ:
ここのくらしはつらいか?
トキ:
そりゃあさ……でも下界(げかい)にくらべりゃずっといいよ。
町の女たち:
お腹いっぱい食べられるし。
男がいばらないしさ。
(……)
(もののけ姫が山犬に乗って走してる)
山犬:
ウ~~ッグルルル。
。
町の女たち:
あした行っちゃうの?
もっといればいいのに。
アシタカ:
ありがとう、でもどうしても会(あ)わなければならない者がいるんです。
ある町の女:
ここではたらきなよ。
(もののけ姫が走してくる)
アシタカ:
ハッ。
(……?
)
アシタカ:
来る!
!
ある町の人:
もののけ姫だ!
!
(もののけ姫が攻撃する)
ある町の人:
うわっ!
くっ。
(……)うわっ~
アシタカ:
(!
)
(もののけ姫が落ちてアシタカを攻撃する)
町の人たち:
姫だ~!
!
アシタカ:
やめろ!
!
アシタカ:
くっ!
アシタカ:
そなたと戦(たたか)いたくない!
!
ある町の人:
入ったのは姫ひとりだ
ある町の人:
御殿のほうへ行くぞ!
ゴンザ:
かがり火をふやせ。
石火矢衆は柵(さく)をかためろ。
ある町の人:
もち場(ば)をはなれるな。
ある町の女:
この屋根(やね)のにいるらしいよ。
トキ:
さわぐんじゃない。
休まずふみな!
火をおとすととりかえしがつかないよ。
エボシ:
ひとりか?
ゴンザ:
はっ、よほど追いつめられたと見えます。
エボシさまをねらってのことでしょう。
エボシ:
しかたがない。
ある町の女:
来なさい。
エボシ:
もののけ姫!
きこえるか。
わたしはここにいるぞ。
おまえが一族の仇をうとうというならこちらにも山犬にくい殺された夫(おっと)の無念をはらそうと心に決めた者たちがいる。
でておいて。
今夜こそケリをつけてやる。
町の人たち:
出た~いたぞ~!
アシタカ:
(バカな…?
!
)
町の人たち:
前をあけろ!
流れ弾にあたるぞ!
!
アシタカ:
罠(わな)だ!
(‥)やめろ-!
アシタカ:
山犬の姫、森へ帰(かえ)れ!
みすみす死ぬなしりぞくも勇気だ!
ゴンザ:
やはりあいつ!
エボシ:
すきなようにさせておけ。
(もののけ姫がエボシのほうに行く)
アシタカ:
くっ!
(町の人たちが石火矢を使う)
ゴンザ:
やった~!
おちるぞ!
ある町の女:
動かな。
ある町の人:
首だけになってもくらいつくのが山犬だ!
エボシ:
おちた所をねらいな!
アシタカ:
ううっ……
エボシ:
はなて!
(もののけ姫の仮面が壊れる)
ゴンザ:
やった-
アシタカ:
うごくな―(アシタカが町の人たちに木をなげる)
ゴンザ:
あちち
アシタカ:
しっかりしろ!
サン:
ううっ(起きて走していく)
(ゴンザがもののけ姫の前に現われる)
アシタカ:
やめろ~!
ゴンザ:
なにっ!
?
(もののけ姫がゴンザの顔を踏んでいく)
サン:
うお―
(エボシが小刀でもののけ姫を攻撃する)
サン:
ぐああっ~
エボシ:
袋(ふくろ)のネズミだ!
!
逃がしちゃだめだよ。
ある町の人:
ゴンザさまお気をたしかにっ。
ゴンザ:
おれにかまうな!
行け!
!
(アシタカがゴンザの前に現われる)
ゴンザ:
ウッ(?
)
アシタカ:
うめは…やはり……
ゴンザ:
もののけのたぐいかっ?
!
とまれぇっ!
!
アシタカ:
どいてくれ。
(アシタカが町の人たち
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